「普通によいもの」を届ける『スモールビジネスの教科書』を読んで考えたこと
武田所長の『スモールビジネスの教科書』を読みました。
本書は、「イノベーションで世界を変える」というよりも、小規模事業者が現実的にどうやって事業内容を考えて、利益を出していくかに焦点を当てた内容でした。
特に印象的だったのは、
既に金が払われており、サービス提供者も儲かっている状態の市場に参入し、その金を少しかすめ取る方法を考える
という考え方です。
世の中では「革新的なサービス」や「世界初のアイデア」が語られがちですが、本書は真逆を行きます。
むしろ以下のような領域を拾うことこそ、スモールビジネスの本質だと語られています。
これは地方で仕事をしている自分にとって、かなり腑に落ちる話でした。
イノベーションと一人社長の相性
個人事業や一人社長という立場では、イノベーション型のビジネスはかなり難しいと感じます。
開発の経験をしたことがある方は、こんな気持ちになったことはありませんか?
これまでにないサービスを作って金持ちになりたい、周りの人間にチヤホヤされたい!

しかし現実には、自分が思いつくようなアイデアは既に誰かが考えていることが多いものです。
さらに本書では「新しいシステムを導入してもらうには、従来手法の10倍良い必要がある」と語られていました。
これはDX支援にも通じる話です。
例えば自治体や学校で新しいシステムを導入する場合、「少し便利」程度では人は動きません。
新しいツールを導入するには、
など、見えないコストが大量に発生します。
つまり我々のような小規模な会社が扱うDX案件というのは、単に便利なツールを作れば良いわけではありません。
顧客が「これは変えなくちゃダメだ!」という明確な課題を持っていて、それをピンポイントで取り除く「課題解決型」のアプローチを取らないといけないのです。
これは思っている以上に難しいことだと感じています。
地域課題という“小規模市場”
本書を読んでいて、自分が今いる場所について改めて考えました。
自分は、いわゆる“秘境”と呼ばれるような地域で仕事をしていて、人口減少が進み、市場規模だけ見れば決して大きくはありません。
しかし逆に言えば、そこには大企業が参入しづらい領域が大量に残っています。
例えば、以下のような案件は大手企業が参入すると採算が合いづらい分野です。
しかし、一人社長や小規模事業者であれば、適度な属人性を武器に成立させることができます。
大規模にスケールする必要はなく、地域の中で「普通に必要とされるもの」を丁寧に提供するだけでも、十分に価値があるのだと思います。
普通に良いものを普通に納品する
本書の中で特に印象に残ったのは、
「自分は普通に求められているものを普通に納品する」
これでよい。
当たり前と言われることが出来れば実は世の中の上位0.1%くらいにはなれる。いや、さらに上位かもしれない。
「それって他社と何が違うの?」に対しては「あまり変わらないと言えば変わらないけど普通に安いし、品質も安定している。僕は顧客や代理店に対しても誠実に対応しているからそこそこ売れている」
これを目指しなさい!
という箇所です。
小規模事業において、必ずしも革新性は必要ではありません。
むしろ、当たり前のことを継続して提供することの方が難しいのではないでしょうか。
私も地域DXや教育支援の仕事をする中で奇抜なことをしたいわけではありません。
むしろ、
そんなサービスを作っていきたいと考えています。
派手ではなくても、地域の現場でちゃんと役に立つもの。
それを積み重ねていくことが、自分にとってのスモールビジネスなのだと思います。
