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『ファスト&スロー』を読んで考えた「人は合理的ではない」という前提

mike

ノーベル経済学賞を受賞した心理学者、ダニエル・カーネマン の著書『ファスト&スロー』を読みました。

この本は、「人は合理的に判断している」という常識を、かなり根本から揺さぶってくる本でした。

読んでいて特に印象的だったのは、人間の思考には「速い思考」と「遅い思考」の2種類が存在するという考え方です。


システム1とシステム2

カーネマンは、人間の思考を「システム1」と「システム2」に分けて説明しています。

システム1システム2
直感的論理的
自動的熟考型
高速低速
ほぼ無意識意識的
疲れにくい疲れやすい

例えば、「2+2」のような簡単な計算はシステム1で処理されます。一方で、「17×24」のように少し頭を使う計算になると、システム2が働きます。

人間は基本的にシステム1で物事を処理しようとします。システム2はエネルギーを大量に消費するため、脳は無意識に「省エネ」をしようとするからです。

つまり、人は普段から常に深く考えているわけではなく、かなりの割合で「なんとなく」の判断で動いています。


認知容易性「聞き慣れたもの」を人は信じる

本書で特に印象的だったのが、「認知容易性」という考え方でした。

人は、見慣れた風景、聞き慣れた言葉に対して、無意識に好意的になります。逆に、難しい文章や複雑な説明には警戒感を持ちやすくなります

つまり、人は「正しいから信じる」のではなく、

“理解しやすいから信じる”

ことがあります。

例えば、同じ主張を何度も見聞きすると、それだけで「正しい気がする」と感じ始めます。SNSや広告で同じ言葉が繰り返されるのも、この性質を利用している部分があるのだと思います。

この考え方を知ると、「自分がなぜその情報を信じているのか」を少し冷静に見られるようになります。


プライミング効果「最初の印象」に引っ張られる

プライミング効果も非常に面白い概念でした。

これは、最初に見た単語や環境が、その後の行動や判断に影響する現象です。

本書では、高齢者を連想させる単語を読んだ人が、その後ゆっくり歩くようになったという実験が紹介されていました。また、学校で投票を行うと教育予算への賛成率が高くなる、という事例もあります。

人は「自分の意思で決めている」と思っていても、実際には周囲の空気や環境にかなり影響されています

例えば、カフェでは勉強が捗り、図書館では自然と静かになる。これも環境による影響の一種なのかもしれません。


フレーミング効果「言い方」で印象は変わる

同じ情報でも、伝え方によって受け取り方は大きく変わります。

例えば、

  • 「術後1ヶ月の生存率90%」
  • 「術後1ヶ月の死亡率10%」

は同じ意味ですが、前者の方が安心感があります。

また、「90%無脂肪」と「脂肪含有率10%」も、意味は同じなのに前者の方が健康的に感じます。

人は、事実そのものだけで判断しているわけではありません。

「どう表現されたか」によって、感情や印象が大きく変わります。


この本を読んで感じたこと

この本を読んで感じたのは、人は合理的な存在というより、「できるだけ脳の負担を減らして生きようとする存在」なのではないか、ということでした。

脳は常にエネルギーを節約しようとします。そのため、人は無意識に楽なものや慣れているものを選びやすくなり、難しいことは避けたくなります。

これは投資や仕事、勉強、健康など、あらゆる場面に当てはまるように感じました。長期的には不利だと分かっていても、短期的な「楽」を選んでしまうことがあるのです。


大事なのは「どちらの思考を使うべきか」を見極めること

システム1が悪いわけではありません。むしろ、人間が素早く判断して生きていくためには必要不可欠な機能です。

問題なのは、本来システム2で慎重に考えるべき場面を、システム1だけで処理してしまうことだと思います。

例えば、投資や契約、起業、人間関係などは、感情や第一印象だけで判断すると大きな失敗につながる可能性があります。

だからこそ、

今、自分は直感で判断してないか?

と意識することが大切なのだと感じました。


商談・提案資料にも行動経済学は使える

この本は、営業や提案資料づくりにも応用できると感じました。

例えば、提案資料を作る際には、情報量を詰め込みすぎないことが重要だと思います。ページ数を絞り、簡単な言葉を使うことで、相手の認知負荷を下げることができます。

また、重要なキーワードを繰り返すことで、「覚えやすさ」や「安心感」を作ることもできます。

さらに、冒頭で具体的な課題や危機感を提示すると、その後の話を真剣に聞いてもらいやすくなります。

例えば、

  • 「更新されないホームページ」
  • 「担当者の属人化」
  • 「人手不足」

など、相手が実際に困っていることを最初に示すことで、問題意識を共有しやすくなります。

特に自治体や教育現場では、

「担当者の負担を増やさない」
「丸ごとお任せできる」

という言葉は強い安心感につながるのではないかと思いました。


まとめ

『ファスト&スロー』は、心理学や行動経済学だけでなく、営業、マーケティング、教育、投資など、さまざまな分野に応用できる本でした。

そして何より、

「人は思ったより合理的ではない」

という前提を持つだけで、自分自身の判断や他人の行動を、少し冷静に見られるようになる気がします。

人間は完全に合理的にはなれません。

だからこそ、重要な場面では一度立ち止まり、自分の直感や感情を疑ってみることが大切なのだと思いました。

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ABOUT ME
ラクダマル
ラクダマル
株式会社DeveloX代表
個人事業主3年目、法人2期目です。
大学卒業後、東京でサイバーセキュリティのエンジニア&コンサルとして勤務、2021年より地域おこし協力隊として九州に移住。
2024年より独立・起業。小中学校のプログラミング教育のサポートやシステム開発をしています。
ブログでは起業・独立・勉強したことを発信します!
趣味は読書とロードバイク。
https://develox.jp
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