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小学校プログラミング教育のねらい

mike

2020年以降、小・中・高でプログラミング教育が必修となった一方で、教えられる先生はまだまだ不足している中、私は講師として小・中学校を訪問してプログラミング授業のカリキュラム作成〜指導しています。

そんな中、なぜプログラミングが必修になったのかと聞かれることがあります。

今回は、文部省の手引きにある「小学校プログラミング教育のねらい」を解説し、それをどのように授業に落とし込んでいるのかを紹介します。

小学校プログラミング教育の3つのねらい

令和2年に「小学校プログラミング教育の手引」が改訂され、そこには情報活用能力の向上を大前提として、大きく3つのプログラミング教育のねらいを定めています。

ちなみに文部省が定める「情報活用能力」とは以下の通り。

「情報活用能力」は、コンピュータ等の情報手段を適切に用いて情報を収集・整理・比較・発信・伝達したりする力であり、さらに、基本的な操作技能やプログラミング的思考、情報モラル、情報セキュリティ、統計等に関する資質・ 能力等も含むもの(学習指導要領解説の要約)

新学習指導要領のポイント

プログラミング的思考を学ぶ

文部科学省は、プログラミング的思考を以下のように定めています。

自分が意図する一連の活動を実現するために、どのような動きの組み合わせが必要であり、どのように組み合わせたらいいのか(中略)といったことを論理的に考えていく力

小学校プログラミング教育の手引(第三版)

つまり、アイディアをどうすれば実現できるかを道筋を立てて考える力、突き詰めると自分の言葉できっちり説明できる力を養うことです。

ここでの「論理的」は効率性を求めている訳ではなく、遠回りでもゴールに辿り着けるという妥当性を評価できることが大事だと解釈しています。

私は生徒にこのことを説明をする時、夏休みの宿題を例に出します

お父さんお母さんに「あんた宿題ちゃんと終わるの!?」と聞かれて「大丈夫だって、あと1ヶ月あるし余裕」と言っても両親は納得しません。

両親は期限内に宿題が終わる根拠が知りたいのに、色々すっ飛ばして「終わる」とだけ言われてもモヤモヤするだけです。

そこで子供は道筋と立てて説明する必要が出てきます

  • 宿題の量(ページ数)
  • 夏休みの残り期間(日数)
  • 簡単な教科、難しい教科(完了までにかかる時間)

以上のような根拠をもとに「1日5ページやれば土日に休んでも始業式に間に合う」という風に数字を用いて説明すれば納得できます。

目標を数値化して、逆算して計画を立てる

こういった訓練はプログラミングと相性が良く、より直接的に養うことができると考えています。

ITリテラシーを高める

情報技術の良い面や悪い面、基本的な知識など、ITを上手に活用してより良い社会を築こうとする態度を育むことです。

この試みそのものは昔から行われおり、学校にコンピュータ室があって、インターネットで調べたものを発表したり、タイピングの練習をした記憶がある方もいるかもしれません。

今も昔とそれほど変わっておらず、現在はAIとどのように共存するかをグループディスカッションして発表したり、SNSの使い方を習ったりする学校もあり、社会や総合の時間と組み合わせて行われる傾向があります

他教科の教材として活用する

文部省としては、ねらい①②が最優先で、算数や社会、総合などの学習でプログラミングを使う場合は、それに加えて③をねらいとすることとしています。

ただし以下のような断りがあることに注意が必要です。

プログラミングに取り組むことを通じて、児童が自ずとプログラミング言語を覚えたり、プログラミングの技能を習得したりするといったことは考えられますが、それ自体をねらいとしているのではないということを、まずは押さえておいてください。

小学校プログラミング教育の手引(第三版)

プログラミング”だけ”教えるのはNGで、これは実質的に、他教科とプログラミングを組み合わせた授業を先生に求めているということになります。

ただでさえプログラミングに明るい先生が少ないのに、プログラミングの理解と教育課程への編成という2つの壁に阻まれる訳です。

私は、小学校ではScratchやPython、MESHを教材として使用しますが、上級生には4択クイズのプログラムを開発させることがあります。

小学校で学習する都道府県名、英単語、計算問題などを選択肢から選んで正解・不正解を出力するという流れをカリキュラムを組み込むこともあります。

いろいろと応用が効いて便利です。

小学校で習う問題を4択で問うプログラム

まとめ

以上、小学校でプログラミングを導入する3つのねらいの解説、それを学校はどうやって授業に落とし込もうとしているのかを説明しました。

とはいえ、先述した3つの理由は学校側の都合であることも忘れてはいけません。子供達には、子供達なりのプログラミングを習うねらいを見つけて欲しいと考えています。

パズル感覚で解くのが楽しい、アイデアが形になるのが達成感を感じる、黒い画面でカタカタしてるのに憧れる、などなど。

どんなに良いことも嫌々やっていると台無しになってしまいます。すぐには見つからないかもしれませんが、元エンジニアとしてプログラミングの楽しさを分かち合って、生徒にはプログラミング教育の恩恵を最大限に受けて欲しいと考えています。

ABOUT ME
ラクダマル
ラクダマル
株式会社DeveloX代表
個人事業主3年目、法人2期目です。
大学卒業後、東京でサイバーセキュリティのエンジニア&コンサルとして勤務、2021年より地域おこし協力隊として九州に移住。
2024年より独立・起業。小中学校のプログラミング教育のサポートやシステム開発をしています。
ブログでは起業・独立・勉強したことを発信します!
趣味は読書とロードバイク。
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